レッスンで耳にするデリエール。シンプルに言えば後ろを表すフランス語ですが、実際のレッスンでは脚や足の位置、移動方向、見せ方の角度まで関わる重要語です。
本記事では、デリエールの正しい意味と使い方、似た言葉との違い、体づかいの要点、練習法までを一気に整理。
初級から指導者まで、理解を深めたい方に読みやすく、実践しやすい内容でお届けします。
専門教本や主要メソッドで共通する定義に基づき、レッスンでそのまま使えるコーチングキューやセルフチェックも紹介します。
用語はわかるのに身体で再現しにくい、その悩みをほどくための具体策をまとめました。
基礎の見直しにも活用してください。
目次
バレエ 用語 デリエール 意味をわかりやすく解説
デリエールはフランス語で後ろの意。バレエ用語では、働き脚や足が支持脚の後方にある位置関係を示す言葉として使われます。
たとえばタンデュ デリエールは、つま先を床に滑らせて後方へ伸ばす動き。ク・ドゥ・ピエ デリエールは足首の後ろ側に足を置く位置を指します。
このように、どの脚がどこにあるかを明確にするラベルとして理解するのが基本です。
重要なのは、デリエールは移動方向ではなく位置関係の語だという点です。
観客に対してどちら側かではなく、自分の支持脚に対して働き脚が後ろ側にある状態を表します。
この前提を押さえると、さまざまなステップ名の後につくデリエールを正しく読み解けます。
デリエールの基本定義と理解の軸
定義の核は、働き脚が支持脚の後ろ側にあること。つま先の向きや脚の高さは問いません。
床を滑らせるときも、空中に上げるときも、支持脚より後方に位置していればデリエールです。
ターンアウトと方向の関係を混同せず、位置関係を判断軸にするのが理解の近道です。
レッスンで教師がデリエールと言うとき、ほぼ常に脚や足の場所を示します。
これはドゥヴァンが前、ア・ラ・スゴンドが横を示すのと同様の分類です。
用語を位置の座標として扱うと、動きの組み立てや記憶が安定します。
よく使う文脈と例(タンデュ、ク・ドゥ・ピエ など)
頻度が高いのは、タンデュ デリエール、デガジェ デリエール、グラン バットマン デリエール。
いずれも支持脚の後ろへ脚を伸ばす系列です。レティレ デリエールやク・ドゥ・ピエ デリエールは、足を軸脚の後ろ側に置くポジション指定です。
アチチュード デリエール、アラベスクも後方ラインとして扱われます。
センターでは、グリッサード デリエールやアッサンブレ デリエールのように、後方を通過もしくは後ろで閉じる意味で付くことがあります。
表記は学校差があっても、後方に脚が位置する原則は共通です。
この共通性は最新情報です。
デリエールの使い方:動きとポジションでの用法

デリエールは、動きの種類(タンデュ、デガジェ、デヴェロッペなど)と組み合わせて、方向指定として機能します。
同じ動きでも方向が変われば使う筋群や体の見せ方が変わり、難度も変化します。
後方は視認性が低い分、体幹管理と股関節の自由度が鍵になります。
また、静的ポジションの名称に付いて脚の置き場を決める用途もあります。
ク・ドゥ・ピエやレティレでは、デリエールを指定するだけで足の包み方、膝の向き、骨盤の正対が変わります。
この違いを意識すると、足先だけでなく全身のラインが整います。
ポジションでのデリエール(レティレ、ク・ドゥ・ピエ、アラベスク)
レティレ デリエールは、働き脚の足指が支持脚のふくらはぎ後面に軽く触れる位置。
ク・ドゥ・ピエ デリエールは、働き脚の足が支持脚の足首後方をやさしく包む位置を指します。
いずれも足首で締め付けず、踵は見せ、つま先は長く保つのが基本です。
アラベスクは原則として後方に脚を伸ばすラインで、デリエールの概念に含まれます。
骨盤は過度に開かず、支持脚上で軸を高く保ちながら脚を後方へ伸ばします。
上体は前へ長く、腰を押し出さない意識が安定感を生みます。
ステップ名でのデリエール(タンデュ、デガジェ、グリッサード)
タンデュ デリエールは、足裏を床に沿わせて後方へ伸ばして戻す基本練習。
デガジェ デリエールは床から数センチ浮かせる小さな打ち出しで、素早さと方向の正確さを鍛えます。
どちらも骨盤を水平に保ち、脚は股関節から真後ろへ出すのが鉄則です。
グリッサード デリエールやアッサンブレ デリエールは、後ろで閉じる、あるいは後ろ脚が最後に来る配置を意味する場合があります。
コンビネーションでは、腕や頭の方向(クロワゼやエファセ)と組み合わせて立体的に使われます。
順序と位置を声に出して確認すると混乱を防げます。
デリエールと混同しやすい言葉の違い

学習初期で最も混同しやすいのが、デリエールとアン・アリエール、そしてドゥヴァンとの対比です。
前者は位置、後者は移動方向という違いを明確に意識しましょう。
舞台方向やエポールマンの語と同時に出るときも、基準がずれると誤解が生じます。
下の表は、よく並んで出る語の軸を簡潔に整理したものです。
用語の主語が脚なのか、身体全体の進行なのかを見極めるだけで、振付の理解速度が上がります。
ワークノートにそのまま写しておくと便利です。
| 用語 | 意味の軸 | 主語 | 例 |
|---|---|---|---|
| デリエール | 位置(後ろ) | 脚・足 | タンデュ デリエール |
| ドゥヴァン | 位置(前) | 脚・足 | レティレ ドゥヴァン |
| アン・アリエール | 移動方向(後方へ進む) | 身体全体 | パ・ド・ブレ アン・アリエール |
ドゥヴァンとの対比と方向認識
ドゥヴァンは前、デリエールは後ろ。どちらも脚の位置を指し、移動ではありません。
例えばタンデュ ドゥヴァンは前方へ、タンデュ デリエールは後方へ脚を出す動き。
両者を交互に練習し、骨盤の水平と脚の根元の回旋を同条件で保てるかが上達の鍵です。
鏡の有無で難度が変わるため、内観の手がかりを用意しましょう。
踵の方向、坐骨の感覚、肋骨の広がりなど、体の中の基準を言語化しておくと再現性が増します。
前後の切り替えでも軸足が沈まないことを最優先にします。
アン・アリエールとの違いと舞台方向
アン・アリエールは後方へ移動すること。脚の位置ではなく、身体全体の進行方向を示します。
グリッサード アン・アリエールは後ろに移動し、脚がどこで閉じるかは別の語で指定されます。
したがってデリエールとアン・アリエールは併用されることがあり、役割が異なります。
舞台方位やクロワゼ・エファセの指示が同時に来た場合は、順に分解して理解しましょう。
位置(デリエール)→移動(アン・アリエール)→向き(クロワゼなど)の順に整理すると、混乱を防げます。
リハーサルメモもこの順序で記述すると読み返しやすくなります。
後ろに伸ばす技術:骨盤・ターンアウト・上体のポイント
後方への脚は、視界外でコントロールする難しさがあります。
骨盤が前傾しすぎて反り腰になったり、脚を上げるために腰を押し出してしまうのは典型的なエラーです。
正しくは体幹を長く保ち、股関節の前側を解放して股関節から真後ろへ脚を送ります。
上体は前へ長く、胸を持ち上げすぎず、肩は広く保つこと。
腕はラインを導く役目を担い、肩甲帯の安定で脚の自由度が増します。
下のヒントボックスを参考に、レッスンでの意識づくりに役立ててください。
- 脚は高くではなく、遠くへ。距離の意識で骨盤の安定が増します。
- おへそは前へ、坐骨は下へ。腰を押し出さない合言葉に。
- 踵で後方の壁をタッチするイメージで脚の長さを出す。
反り腰を防ぐ骨盤コントロールと体幹
骨盤は軽いニュートラル。恥骨をほんの少し前に意識し、下腹を長く保ちます。
脚を後ろへ上げる際は、腰を押し出さず、みぞおちを引き上げて脊柱を長く。
呼吸は吐きながら脚を遠くへ送り、吸いながら体幹を広げると腰椎の詰まりを防げます。
床に立つ足の親指球と小指球、踵の三点で支持を作ることも大切です。
支持脚の内腿を上へ引き上げ、坐骨をすっと下ろすと骨盤が安定。
その上で後方へ脚を滑らせると、少ない力で長いラインが出せます。
股関節からのターンアウトと脚の上げ方
ターンアウトは膝下ではなく股関節から。
後方では外旋の感覚が薄れやすいため、踵の向きをわずかに外側へ保つ意識を持ちます。
太腿後面と臀筋を均等に使い、ハムストリングだけに頼らないことで引きつりを予防します。
高さよりも方向の純度を優先しましょう。
床すれすれのデガジェでも、股関節から真後ろに出せれば十分な訓練になります。
足首は伸ばし切らず、長く保ち、膝は通過で緩みすぎないようにします。
上体と腕のコーディネーション、見栄えのコツ
上体は前に長く、頭頂で空間を押し上げて背中を広く使います。
腕は肩からではなく背中から始め、ポール・ド・ブラで脚のラインを導くと全体が大きく見えます。
肩が上がると後ろ脚の可動が即座に制限されるため、鎖骨を広げ続けます。
舞台での見え方を意識して、視線はやや遠くへ。
首は長く保ち、顎は引きすぎず上げすぎず中立に。
写真の一瞬ではなく、移行の美しさを作る意識が総合点を押し上げます。
上達のための練習法とセルフチェック

後方のコントロールは、段階的なドリルで養うのが効率的です。
バーで方向の純度と骨盤の安定を確認し、センターで移動とエポールマンを統合。
補強と柔軟は最小限で効果的に、関節を守りつつ可動域を育てます。
セルフチェックは感覚頼みになりがちです。
言葉によるキュー、壁や椅子を使った触覚キュー、スマホの短時間動画での視覚キューを組み合わせましょう。
習慣化すれば、短時間でも確実に進歩を感じられます。
バーでの段階的ドリル
まずタンデュ デリエールでかかとの軌道を確認。
ゆっくり出して2拍キープ、戻しで内腿を引き上げ、骨盤の水平を保ちます。
次にデガジェ デリエールで小さく速く。支えの足裏三点を強く感じましょう。
グラン バットマン デリエールは高さよりも骨盤の静けさを優先。
上げる直前に吸い、上げる動作で吐くと腰の詰まりを防げます。
各セットの間にプリエを挟み、足裏と内腿のスイッチを入れ直します。
センターでの応用とコンビネーションの作り方
アダージオでデヴェロッペ デリエールをゆっくり行い、軸の伸びを確認。
エポールマンを加え、視線と腕でラインを導きます。
小さなワルツのフレーズにグリッサード デリエールを入れて移動と位置の区別を練習しましょう。
コンビネーションは、位置→移動→向きの順で組み立てると明瞭です。
例として、タンデュ デリエール、パ・ド・ブレ アン・アリエール、クロワゼでポーズ。
言語化してから動くと、記憶と再現が格段に楽になります。
自宅でできる補強と柔軟、注意点
クラムシェルやヒップエクステンションで股関節外旋筋と臀筋を目覚めさせましょう。
プランクやデッドバグで体幹の長さを保つ力を育てると、反り腰の予防になります。
ストレッチは太腿前を柔らかく保ち、股関節前面のスペースを確保します。
無理な背中の反りや、勢いで脚を振り上げる練習は避けます。
少ない回数で質を高く、痛みが出たら中止するのが鉄則です。
週単位で負荷を微増させると、疲労をためずに可動とコントロールが伸びます。
まとめ
デリエールは、脚や足が支持脚の後ろに位置することを示す用語で、移動方向ではありません。
タンデュやデガジェなどの動き、ク・ドゥ・ピエやレティレなどのポジションに付いて、後方の位置を明確にします。
アン・アリエールやドゥヴァンとの違いを押さえると、振付の理解が加速します。
技術面では、骨盤の中立、股関節からのターンアウト、上体と腕の協調が要となります。
バーで方向の純度を高め、センターで移動と向きを統合。補強と柔軟で土台を整えましょう。
位置と方向の言語化を習慣にすれば、後方のラインは確実に洗練されます。
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